4 月 23rd, 2008 at 11:09am

【伊坂幸太郎】 魔王
伊坂幸太郎は私の好きな作家の一人で、文庫になっている小説はほとんど読んだし、人にもオススメもしてきました。独特の世界があって、今の時代にはぴったりな小説だし、その理解できそうで出来ない不思議な世界が好きだったのですが、珍しく?この小説は私にとってはあまり満足するものではありませんでした。好みの分かれる小説というところでしょうか?
舞台が、ファシズムに傾倒していきそうな日本で、テーマは政治。といっても、相変わらずの伊坂節で堅苦しくは無いし、さらには、超能力も登場してくる。「言いたいことを相手に言わせる能力」や、「脳溢血を相手におこさせてしまう能力」やら、「ある程度の確立なら当ててしまえる能力」などなど。
小説に描写されている、日本を引っ張っていける強力な政治的リーダーの不在。過去、何度もの期待と失望を繰り返し、無関心となってしまった群集。今の日本を的確に表現しているなぁと感じますね。ただ、そこからファシズムに傾倒するまでのもって行き方は強引過ぎるし、そこまで群集は統一された志向があるわけじゃないと思う(思いたい)。そういったところや、政治への見方が平面的だったことも、楽しんで読めなかった原因かな・・・。あくまで小説だから、単に楽しめればよいのかもしれないですが。
タイトルにある「魔王」とは・・・?最後に明らかになります。
なんとく、続きがあるような雰囲気が気になりますね。

- 魔王 伊坂 幸太郎
- おすすめ平均

魔王とは
文庫の値段なら満足できたが
「魔王」に比べて「呼吸」がいまいち
あの心は美しかった
人間が人間を動かす時
4 月 10th, 2008 at 10:48am
4 月 7th, 2008 at 7:16pm
【山本修一郎】 誰も語らなかったIT 9つの秘密
もはやシステムに関らない人は、居ないのではないかというほど、あらゆる業種、あらゆる仕事の中にITが活用されるようになってきていますが、果たして本当に活用されているのでしょうか?
システムに関係が無かった人でも、年を経るにつれ、「知らなかった」では済まされない立場になっていったときに、如何にしてITと向き合うといいのか。
そんな、基本だけど、とても大切な話が詰まっています。
日本はIT後進国と呼ばれていますが、世界からもそう見られています。2003年1月25日号『週刊ダイヤモンド』の記事によると、投資されたITの3割は不良資産化しているそうです。IT不良資産の定義は、「構築したにもかかわらずなんらかの理由で使われていない情報システム」です。
これを読んだだけでも、大きく納得です。(・・・本当はあってはいけないことなのですが。)
実際に、過去に経験しているお客さんで稼動しているシステムを見ると、びっくりすることに、全く使われていないシステムが本当にあったりします。何千マンも掛けて作ったのに・・・。もったいない。しかし、最近はお客さんもシステム構築慣れしてきたためか、そういうシステムは見かけなくなりましたね。
これは、何が原因なのでしょうか?もちろん、システム開発担当にも責任があるケースも多いとは思いますが、発注をするお客様が、抑えるべきポイントを誤っているためにおきるケースも非常に多い。とこの本では指摘しています。
なかなか興味深いし、確かに基本的なことだけど、だからこそ重要なことが書かれていると思いますので、是非一度手にとってみてはいかがでしょうか。
私が、ナルほどね。と思った箇所は以下のような箇所でした。アメリカ流のシステム開発のある例
パレートの法則を適用し、「トラブルの8割は2割のプロジェクトから発生する。」として、まず、スケジュールの遅れの酷いプロジェクト2割を検討します。さらに1年経った段階で、まだ遅れているプロジェクトは強引にストップするのです。これまで掛けた費用も関係なくストップです。再検討の結果、必要であれば別チームを編成して取り組ませる。という方法があるそうです。
これは、理由がいくつかあって、
①そもそも現実可能性の低いプロジェクトの可能性があるので、再検討を行う。
②プロジェクトのメンバーの視野が狭くなっている可能性があるので、チーム再編を行う。
③開発がうまくいっていないシステムは、完成しても出来が悪いケースが多い。
なかなか面白い方法だなぁと納得です。
でも、プロジェクトを中止する、というのは勇気が居ることですよね。
4 月 5th, 2008 at 8:35am

【村上春樹】 走ることについて語るときに僕の語ること
今までは、小説といえば「宮部みゆき」といった、ストーリーのはっきりした痛快な内容が好きだったのですが、最近好きな本の種類が変わってきました。話の展開が面白い小説はもちろん面白いですが、「共感できる」とか「自分について深く考えられる」、そんな本が読んでいて心地いいです。だから、随筆とかエッセイも近頃は手を出していますね。
その代表的な作家がこの村上春樹。
小説では、何も起こらない淡々とした文章が続くのですが、知らない間にその言葉が自分の中に積もっていっているのを感じます。以前は(高校くらいのころ)、読み終わっても「ふーん。」っていう感想しか出なかったのですが、最近は、こんなにすごい作家はいない!とまで思うようになりました。思えばすごい方針転換ですよね。村上春樹小説の中毒(ハルキスト?)になってしまうのが、近頃ようやくわかるようになってきました。
そんな村上春樹氏のエッセイ。
専業作家になった頃からほとんど毎日(25年間!)ランニングを続けてきた。その間、フル・マラソンやトライアスロンのレースにも参加しつづけてきた。そんな村上春樹氏が、走ることと、どうやって向き合ってきたのかがぎっしりと詰まった最高の一冊です。
「走ること」というと、並大抵の決意では出来ない、過酷なスポーツですよね。それを個人でやろうとするとなおさら強い意思が必要そうです。
でも、本にかかれていたのは、予想を大きく裏切られるものでした。それは意思の強さの問題ではなく、それが「自分に合っていた」から。そういった、決して意地や見栄やそういった感情ではなく、単純に自分と向き合った結果として、「たまたまランニングだった」という、肩の力の抜き具合に敬服です。この本も、決して「走ることがいいことだ」というような、押し付けは一切感じられません。
この一冊から受けた感覚というのは、忘れられそうにないし、なかなか伝えることが出来無いですね。ぜひ、手にとって読んでみてください。
- 走ることについて語るときに僕の語ること村上 春樹
- おすすめ平均

走ることをメタファとして、彼のについて書いている
やっぱりこうでなくっちゃ
身体の言葉を聴く、村上氏の創作の源泉
ムラハル教の書
小説のようなエッセイ

4 月 2nd, 2008 at 7:06pm
【奥田英朗】 延長戦に入りました
奥田英朗のスポーツを中心としたショートコラム。エッセイ?がぎゅっとつまった一冊です。小説ではないので、素の奥田さんってこんな人なの?と思うこと請け合いです。普通は気づかない変わった視点、抱腹絶倒の文章。
「ボブスレーの2番目の人は、何をしているの?」うーむ。確かに。ナゾだ。
「苗字のアイウエオ順とトップバッターの資質!」確かに。私は「ワ」で間違いなく最後なので、もちろんプレッシャーには弱い。
私はスポーツにはカラキシ疎いのですが、落ち着いて考えてみれば不思議なことばかり。
サッカーのPK戦も、落ち着いて考えれば、ちょっとだけ腑に落ちないし、レスリングのユニフォームは見ているこちらが恥ずかしいなって思うことも確かにあるし。
なんだか、説明するのは難しいけど、ツボをついた内容と文章なのです。
翌日からスポーツを見る目が変わるかも?

- 延長戦に入りました (幻冬舎文庫)
- 奥田 英朗
- 売り上げランキング : 7774
- おすすめ平均

思わず笑ってしまう。
思わず笑っちゃうが・・・
34篇の笑読本。。
自分の好きなものをそのまま「好き!」と書かないエッセイは愉快である
文庫本なのに漫画みたいに笑える本
4 月 1st, 2008 at 8:26pm
【さくらももこ】 たいのおかしら
私の中では、さくらももこは漫画家なので、いままでエッセイには手を出さないできました。結構評判はよさそうだし、漫画と同じくらい、ほのぼのとした雰囲気が醸しだされていて、きっと読んだら面白いんだろうなぁ、とは思っていましたが、買うまでではないかなと思って控えていたのです。
ところが、あるとき知り合いと「100年後に名前が残る作家ってだれだろうねぇ」って話をしたことがあり、私は「村上春樹とかかな?」といったら、相手は「そうだねぇ。さくらももこは?」と言われて、かなり面食らいました。衝撃でした。さくらももこって、「ちびまるこちゃん」の漫画家じゃなかったっけ?確かエッセイも出てたけど、そんなにすごいの?
まぁ、本はあまり読まない人なのでたまたまそういう名前が出てきたのかもしれないですが、その強烈なインパクトが残っていて、いつか読んで確認せねば。と思っていました。
ということで、今回初めてさくらももこの本を読むことになったのですが、予想通りでした。ほっ。
決して悪い意味ではなくて、目の前にちびまるこちゃんの絵が思い浮かぶようなシーンばかり。ようするに、本当にゆったりと気を許して読めるエッセイでした。ちょっとした日々の出来事が、楽しく読めました。
3 月 26th, 2008 at 11:39am
3 月 25th, 2008 at 11:58am

【奥田英朗】 町長選挙
「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に続くこの本。そうです。あのハチャメチャ精神科医の伊良部です。私は当初、この本は長編小説かと思っていたんですが、違いました。今までと同じく、短編集でした。でも、この本の特徴は、なんと言っても、「うん?これは実在のアノ人がテーマなんじゃないか?」と思えるのです。そんなこと書いちゃって良いのか?と思わなくも無いですが、面白いのでオッケーです。
それにしても、今回のタイトルになっている町長選挙。東京都とは名ばかりの離れ小島。人口も二千人程度の小さな島。この島で繰り広げられる町長選挙とは一体どんなものなのか・・・?さすがの伊良部もお手上げか?というびっくりな展開ですね。
でも「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」という名言(?)とともに、伊良部が動き出す。
奥田さんの小説は、今回のような軽い小説から思いテーマの本まで、幅が広くてすきですねぇ。特に今回のシリーズは、気軽に読めて、心がほっこりと和んで・・・。ステキです。

- 町長選挙奥田 英朗
- おすすめ平均

引き続き面白かったが
暴走というより
読みやすさバツグン!伊良部シリーズ
社会に切り込んだ本作
マンネリを解消するための変化球をどう捉えるか
3 月 18th, 2008 at 11:25am

【西村佳哲】 自分の仕事をつくる
ところで、この本「自分の仕事をつくる」。本当にすごい本なのです。この作家はデザイナーの仕事のかたわら、働き方に焦点を当てて、「働き方研究家」としてステキな仕事をしている人たちにインタビューした結果がまとめられています。
とはいっても、ビジネス書として堅苦しいわけではなく、インタビューのやり取り、そして作者からの問題提起ががぎゅっと凝縮されていて、心に直接響く重みのある本です。
仕事について、誰しもが悩むことはあると思います。仕事上の問題ではなく、もっと根本的に、「この働き方でいいのだろうか?」といった漠然とした想い。自分がしている仕事の価値(お金ではない)がどんなものなのか?なかなか分からないですよね。
こんなもんでいいでしょ?
安売りの商品や仕事には暗に「こんなもんでいいでしょ?」というメッセージが発せられているような気がしてならない、一方に丁寧に時間と心がけられた仕事がある。素材の旨味を引き出そうと、手間を惜しまず作られる料理。表には見えない細部にまで手の入った工芸品。一流のスポーツ選手によるすばらしいプレイに、「こんなもんで」という力の出し惜しみは無い。このような仕事に触れるとき、私達は嬉しそうな表情をする。それは「あなたは大切な存在で、生きている価値がある」というメッセージを受け取るからだ。
確かに、ステキだなぁと思えるものは、カタチが多少変わっていても、傷があったとしても、作り手の丁寧な仕事が伺えるものだったりする。いかにも機械で作られていたものというのは、「適当さ」が感じられてしまう。そんなことじっくりと考えたことは無いけど、確かに何かメッセージを出している。
トライ&エラー
結局のところ、課題をクリアーしていく唯一の方法は、何度も失敗を重ねることしかない。他に方法はありません。デザインのスキルの大半は、その仕事の進め方の中にあると僕は思います。
大切なのは、本当の問題を発見していく能力です。表面的に目に付く問題点は、より根本的な問題が引き起こしている現象の一つに過ぎないことが多い。では、問題に深くアプローチしていく方法とはなんでしょうか。それは、机の上で頭を捻って問題を予測することではない。早い段階から、可能な限り具体的にテストし、トライ&エラーを重ねていくこと。これに尽きます。
基本的には、デザインや職人さんに焦点を当てたインタビューになっていますが、仕事のジャンルに関係なく、深く考えさせられます。そして、状況に流されたり、「こんなもんか」という仕事のやり方をしていた私には、その「違い」を突きつけられる感じがします。
是非、一度読まれてみてはいかがでしょうか?
- 自分の仕事をつくる西村 佳哲
- おすすめ平均

自分の人生を誇れるものとするために
スタイルの見直しを薦めてくれる本
実例が分かりやすい
すべての働く人たち、これから働く人たちへおすすめできる一冊
考えさせられる1冊
