4 月 5th, 2008 at 8:35am |
【村上春樹】 走ることについて語るときに僕の語ること
今までは、小説といえば「宮部みゆき」といった、ストーリーのはっきりした痛快な内容が好きだったのですが、最近好きな本の種類が変わってきました。話の展開が面白い小説はもちろん面白いですが、「共感できる」とか「自分について深く考えられる」、そんな本が読んでいて心地いいです。だから、随筆とかエッセイも近頃は手を出していますね。
その代表的な作家がこの村上春樹。
小説では、何も起こらない淡々とした文章が続くのですが、知らない間にその言葉が自分の中に積もっていっているのを感じます。以前は(高校くらいのころ)、読み終わっても「ふーん。」っていう感想しか出なかったのですが、最近は、こんなにすごい作家はいない!とまで思うようになりました。思えばすごい方針転換ですよね。村上春樹小説の中毒(ハルキスト?)になってしまうのが、近頃ようやくわかるようになってきました。
そんな村上春樹氏のエッセイ。
専業作家になった頃からほとんど毎日(25年間!)ランニングを続けてきた。その間、フル・マラソンやトライアスロンのレースにも参加しつづけてきた。そんな村上春樹氏が、走ることと、どうやって向き合ってきたのかがぎっしりと詰まった最高の一冊です。
「走ること」というと、並大抵の決意では出来ない、過酷なスポーツですよね。それを個人でやろうとするとなおさら強い意思が必要そうです。
でも、本にかかれていたのは、予想を大きく裏切られるものでした。それは意思の強さの問題ではなく、それが「自分に合っていた」から。そういった、決して意地や見栄やそういった感情ではなく、単純に自分と向き合った結果として、「たまたまランニングだった」という、肩の力の抜き具合に敬服です。この本も、決して「走ることがいいことだ」というような、押し付けは一切感じられません。
この一冊から受けた感覚というのは、忘れられそうにないし、なかなか伝えることが出来無いですね。ぜひ、手にとって読んでみてください。
走ることについて語るときに僕の語ること村上 春樹
おすすめ平均
走ることをメタファとして、彼のについて書いている
やっぱりこうでなくっちゃ
身体の言葉を聴く、村上氏の創作の源泉
ムラハル教の書
小説のようなエッセイ
Read the rest of 【村上春樹】 走ることについて語るときに僕の語ること
3 月 14th, 2008 at 7:57am |
【村上春樹】 羊男のクリスマス
最強の村上春樹+佐々木マキの絵本。二冊目を読みました。
羊男は頼まれたクリスマスソングを作曲しようとするが、作曲が出来ない。
なぜか??
昨年の聖羊祭日にドーナッツを食べた呪いがかかってしまったのだ!
呪いを解くために羊男は出かけるが・・・?
羊博士や双子の女の子、ねじけやなんでもなしが登場します。
私が知っているのは双子の女の子くらいだけど、
他の作品を読んだら登場するのでしょうか?
それにしても、羊男は沢山いるものなんですね!
それにびっくりです。
「それじゃ去年のクリスマス・イブに穴のあいたものを食べなかったかね?」
「ドーナツなら毎日昼ごはんに食べてますよ。
クリスマス・イブに食べたのがどのドーナツだったかは覚えていないけど、
えーと、とにかくドーナツを食べたことはたしかですね」
「穴のあいたドーナツかね?」
「ええ、そりゃそうです。ドーナツっていうと、だいたいみんな穴があいてますから」
珍しくストレートなストーリーでした。小さな子供でも楽しく読めそうですね。
羊男のクリスマス (講談社文庫)村上 春樹 佐々木 マキ
おすすめ平均
ねじり気に入ってます
本当に好きならね。
最強のタッグ!!
羊が好きになりました。
心温まるお話。
Read the rest of 【村上春樹】 羊男のクリスマス
3 月 13th, 2008 at 9:02am |
【村上春樹】 スプートニクの恋人
国立で小学校の教師をしているぼくは、大学知り合ったすみれに片思いをしていた。
すみれは変わった女性で、作家を夢見て気ままな生活を送っていたが、何故か僕とは気があった。そんな穏やかな日々が、ある時から劇的に変わっていく。すみれが生まれて初めて、恋に落ちた時から。
相手は、「ミュウ」という名前の韓国人(日本で育っているが)。美しい、17歳年上の、結婚している、しかも女性だった。
基本的には、ラブストーリー(ぼくとすみれの。)だと思うのだけど、
小説の中では、色々な比喩や暗示や、そしてあちらの世界とこちらの世界が錯綜する。
これは村上春樹のストーリーにはよく登場して、いつも混乱させられる。
今回はすみれがまるで煙のように姿を消してしまう。
まるであちらの世界に行ってしまったかのように。
そしてぼくは、すみれが帰ってくるのを待ち続ける。
どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう、
ぼくはそう思った。~中略~
僕は眼を閉じ、耳を澄ませ、地球の引力を唯ひとつの絆として
天空を通過しつづけているスプートニクの末裔たちのことを思った。
彼らは孤独な金属の塊として、さえぎるものもない宇宙の暗黒の中で
ふとめぐり会い、すれ違い、そして永遠に別れていくのだ。
かわす言葉も無く、結ぶ約束もなく。
まるで、すべてのことが悪いことへの暗示のように感じられてならないが、
私には、温かい最後を想像している。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」でも、自分が終わってしまう、
世界が終わってしまうような暗示がふんだんにある中、
たぶん、どんな状況であれ私は助かったのだと思うし、
「スプートニクの恋人」のぼくも、どんな形でも大切なすみれと再び会うことができた。
と(勝手に)信じている。
ぼくとすみれのやり取りのなかで、特に印象的だった記号と象徴の違いがある。
象徴は、一方通行で、記号は相互通行。ということだった。
天皇は日本国の象徴だけど、天皇と日本国は対等じゃない。
でも記号であれば、両者は交換が可能になる。
本を閉じて、改めてじっくりと考えてしまった。
象徴はなんとなく分かるけど、記号は交換可能なんだろうか?
確かに、記号はそれ自身を置き換えているだけだから、交換可能なのかもしれない。
・・・日頃考えもつかないことだけに、楽しいオドロキでした。
スプートニク
1957年10月4日、ソヴィエト連邦はカザフ共和国にあるバイコヌール宇宙基地から
世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げた。
直径58センチ、重さ83.6kg、地球を96分12秒で一周した。
翌月3日にはライカ犬を乗せたスプートニク2号の打ち上げにも成功。
宇宙空間に出た最初の生物となるが、衛星は回収されず、
宇宙における生物研究の犠牲になった。
スプートニクの恋人 (講談社文庫)村上 春樹
おすすめ平均
程よく現実的で程よく幻想的。僕に合う本。
失われたもの、その代わりに帰ってきたもの
悲しく、悲しく、心がつまる
類型的に思えるが、やっぱり読んでしまう
単純にいい
Read the rest of 【村上春樹】 スプートニクの恋人
3 月 12th, 2008 at 8:00am |
【村上春樹】 ふしぎな図書館
大人のための絵本です。
村上春樹の小説によく登場する羊男が出てきます。
半分は挿絵になっていて、佐々木マキさんの親しみの沸く絵が
不思議な世界を案内してくれます。
僕は、図書館へ行って「オスマントルコの税金のあつめ方」を調べようと思った。
ところが、本を読むために連れて行かれた読書室は・・・?
ものの10分程度で読み終わってしまうのですが、
心がほっとさせられるストーリーでありながら、
相変わらず、何かを表現しているようにも感じられる素敵な本です。
ぼくはすっかり混乱していた。だって私立図書館の地下に
こんなおおがかりな迷路みたいなものがあるなんて。
ほんの小さな迷路だってつくる余裕はないはずだ。
「こんなにおいしいドーナッツを食べたのは生まれて初めてです」
「おいらがさっき作ったんだよ」と羊男は言った。「粉もじぶんでこねた」
「羊男さんがどっかでドーナッツ屋さんをはじめたら、すごくはんじょうすると思うな」
う~ん、おいしそう。ドーナッツが食べたくなった。
羊男を書いてみました・・・。
ふしぎな図書館 (講談社文庫 (む6-33))村上 春樹
おすすめ平均
リアルな、ファンタジーです。
マキの巻
世界の見え方
喪失
ある日
Read the rest of 【村上春樹】 ふしぎな図書館
3 月 10th, 2008 at 10:15am |
【村上春樹】 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
村上春樹の代表作の一つ、
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読みました。
この小説は1985年に刊行された初の書き下ろし長編小説になっていますが、
作者はこの本を自伝的な小説であると位置づけているようです。
「世界の終り」と呼ばれる、高い壁で囲われたひっそりした街。
そこで新しく暮らすことになった僕。
そして、「ハードボイルド・ワンダーランド」で情報を暗号化する「計算士」としての私。
この二つの世界が交互に語られ進んでいきます。
(時系列は同時では無いようです。)
「ハードボイルド・ワンダーランド」は東京に住む現実の世界。
ある日、博士に暗号の依頼を受け、「シャフリング」と呼ばれる高度な暗号を行うが、
その「シャフリング」は時限爆弾のように脳に作用し、時間が来ると
「私」の脳の回路を破壊してしまうことを知らされ、
残りの時間を数えながら過ごす「私」。
一方、「世界の終わり」では影(心)と切り離され、閉じた世界で日々を過ごしながら
一角獣の頭骨から「古い夢」を読みつつも、この街に残るべきかを悩む「僕」。
相変わらず抽象的な表現が多くて、読みつつも色々な想像が羽を広げます。
人によって解釈が異なる、受け取り方が異なる、禅問答のようです。
ネットを検索しても、色々な意見があって面白いですよね。
読者には誤読の権利がある!!ということなので勝手に解釈してみると、
この「世界の終り」は「私」の脳に出来上がった、もう一つの意識の世界、
博士が埋め込んだ第三の世界ということなんだろうと思います。
僕は、自分の無意識に作った第二の世界が無くなったので、第三の世界に入っていた。
そこは自分の心を持つことができない冷たい世界だった。
もし「世界の終り」で僕が何もせずに、影が死に街に住むことになったら
それはきっと、第三の意識に閉じ込められていたのでしょう。
でも僕は、自分がこの世界を作ったことを(博士ではない)
唄を通して発見し、影を失っても心を取り戻すことが出来ることを知る。
そして、影は逃げ、僕は「世界の終り」に残る。
影がこの「世界の終り」から逃げ出せたことで、現実の世界の僕は
最後に初めて「この世界から消えてなくなりたくない」と考えた?
この何日間かではじめてこの世界から消えたくないと思った。
私が次にどこの世界に行くかなんて、そんなことはどうでもいいことなのだ。
私の人生の輝きの九十三パーセントが前半の三十五年で使い果たされて
しまったとしても、それでもかまわない。
私はその七パーセントを大事に抱えたままこの世界の成り立ち方を
どこまでも眺めて生きたいのだ。
現実の私は最後に心を取り戻し、
「世界の終り」の僕は、時間をかけて心を取り戻し、
この世界を再構築していく。
そんな風に思いました。
太陽はなぜ今も輝きつづけるのか
鳥たちはなぜ唄いつづけるのか
彼らは知らないのだろうか
世界がもう終わってしまったことを
—”THE END OF THE WORLD”
村上春樹は、高校ぐらいのときに読んで「つまらない」と思ったんですが、
読めば読むほど、年をとればとるほど、文章の味が分かるようになる作品が
多いいのかなと思います。
この「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は
大好きな本の一冊になりそうです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)
村上 春樹
おすすめ平均
確か3日くらいで読んだ気がします、うん
限りない喪失と再生
★5つじゃ足りないかな
楽しく、かつ深い小説
2つの世界のつながりが読むものを魅了する
Read the rest of 【村上春樹】 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
10 月 24th, 2007 at 9:34am |
Read the rest of 【村上春樹】 海辺のカフカ
9 月 25th, 2007 at 8:37am |
Read the rest of 【村上春樹】 アフターダーク